みなさんこんにちは。 吉祥寺にある歯医者 京王井の頭線 吉祥寺駅より徒歩3分、吉祥寺おとなこども歯科・矯正歯科です。
「朝起きたときに顎がだるい」「マウスピースを使用しているが、効果を感じにくい」──そのようなお悩みを抱えている方は多くいらっしゃいます。近年、歯科の臨床現場において注目されている治療の一つが、“ボツリヌストキシン(一般的にはボトックスとして知られる)注射”です。これは美容医療に限らず、歯ぎしりや食いしばりといった筋肉性の口腔習癖に対しても有効性が認められており、予防歯科や咬合治療の一環として取り入れるケースが増えています。
本記事では、「歯科 ボツリヌストキシン」のキーワードに基づき、歯科的な視点でその治療原理、原因との関連性、治療効果の持続性、そして臨床的メリット・リスクについて解説します。歯科医療従事者として、または歯ぎしりに悩む患者さまの立場から、信頼できる情報として参考になる内容をお届けします。
歯ぎしりによって歯がすり減ってきている方、顎関節や咀嚼筋の疲労が慢性化している方、マウスピースが合わず継続できなかった方などは、ぜひ最後までお読みください。
歯ぎしり・食いしばりのボトックス(ボツリヌス)治療 歯科におけるボツリヌストキシン治療は、主に咬筋や側頭筋といった咀嚼筋群に対し、筋肉の過緊張を緩和させることを目的として実施されます。ボツリヌストキシンは神経終末からのアセチルコリン放出を一時的に抑制し、筋肉の収縮力を弱める作用を持ちます。これにより、無意識下で行われる歯ぎしり・食いしばりの力を軽減することができます。 施術は外科的処置を伴わない注射のみで完了し、治療にかかる時間は10分程度。注射部位も限局的であり、術後の腫れや出血も最小限です。歯科的には、マウスピース療法や咬合調整と併用することで、より包括的なアプローチが可能です。
歯ぎしり・食いしばりのボツリヌス(ボトックス)治療とは この治療は、咀嚼筋の一つである咬筋に対し、ボツリヌストキシン製剤を注射し、筋活動の過剰な収縮を一時的に抑制するというものです。特に、夜間の睡眠中に起こる歯ぎしり(ブラキシズム)や、日中のTCH(Tooth Contacting Habit)による食いしばりに対して効果的です。 治療効果は3〜6か月持続し、個人差はあるものの、継続的な施術により筋肉の緊張が次第に和らぎ、症状の改善だけでなく歯や顎関節の長期的な保護にもつながります。 当院でも実際に、マウスピースだけでは改善が難しかった症例に対し、本治療を併用することで良好な経過をたどったケースが複数あります。
歯ぎしり・食いしばりの原因 歯ぎしりや食いしばりには明確な単一原因はなく、多因子性であることが知られています。以下のような要因が複雑に関与し、筋肉の異常収縮や咬合の乱れを引き起こすことが報告されています。
過蓋咬合による歯ぎしり・食いしばり 過蓋咬合とは、前歯の垂直的な被蓋が過度に深い状態で、下顎の自由な動きを妨げる傾向があります。このような噛み合わせの問題は、顎関節や咀嚼筋に慢性的なストレスを与え、就寝中のブラキシズムを引き起こす要因となり得ます。 当院では、必要に応じて咬合の再評価や矯正治療の併用を検討し、ボツリヌストキシンによる筋肉のアプローチと併せて包括的な管理を行っています。
奥歯で噛む癖がある 長期的に奥歯で強く噛む癖があると、咬筋が過度に発達し、筋肥大を引き起こします。この状態では筋肉が収縮しやすく、歯や顎に不必要な圧力がかかるようになります。特に、歯の咬耗、咬合痛、顎関節の違和感などが出現しやすくなります。 このような筋肉の過緊張には、ボツリヌストキシンによる治療が有効であり、筋収縮を抑制することで慢性的な緊張からの解放が期待されます。
ストレスによる歯ぎしり・食いしばり 心理的ストレスは、交感神経の過活動を通じて咀嚼筋の緊張を促進し、ブラキシズムやTCHを引き起こすとされています。これにより、日中の集中時や就寝中に筋肉の不随意な動きが活性化し、歯や顎への慢性的なダメージにつながります。 ストレスマネジメントと合わせて、筋肉の反応そのものを弱めるボツリヌストキシン注射は、心理的および生理的両側面からの改善をサポートする治療手段です。
ボトックス(ボツリヌス)治療の効果の持続力 本治療は、施術後3〜10日ほどで効果が現れ、3〜6ヶ月間効果が持続するのが一般的です。筋肉の状態や日常の習癖によっては、2〜3ヶ月で効果が薄れることもあり、その場合には早期の再施術が推奨されます。 長期的に見ると、定期的な注射により筋活動のバランスが整い、筋肥大や咬合力の異常が徐々に緩和されるケースが多く見受けられます。 治療を続けることで、噛む力の過度な負荷を抑え、歯の破折や摩耗、顎関節の変性などの予防にもつながります。
ボツリヌス(ボトックス)治療のメリット・デメリット
ボツリヌス治療のメリット
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マウスピースのように就寝時に異物感がないため、継続しやすく、装着が困難な方にも適している。
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治療時間が短く、術後の制限も少ないため、仕事や家事の合間でも気軽に受けやすい。
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顎や歯への余分な負担が軽減され、顎関節症の進行予防にもつながる。
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咬筋の過緊張が緩むことで、エラの張りが改善され、フェイスラインの見た目にも変化が生じる。
ボツリヌス治療のデメリット
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効果が恒久的ではなく、3〜6か月ごとに繰り返し注射する必要がある。
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咬合力の一時的な低下により、食事の際に違和感を覚えることがある。
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注射部位に軽微な腫れや内出血が起こる場合があり、2〜3日で自然消失するが注意が必要。
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解剖学的知識や咬合に関する理解が不足している施術者による処置では、左右差や違和感が残るリスクがある。
まとめ
歯科領域でのボツリヌストキシン注射は、従来のスプリント療法や咬合調整では改善しきれなかった症状に対して、筋肉への直接的なアプローチを可能にする有効な治療法です。 特に、食いしばりや歯ぎしりが原因で歯牙破折や顎関節障害が進行しているケースでは、早期の介入が予後の安定に直結します。
施術の効果や安全性を最大限に高めるためには、歯科的な診査・診断に基づいた適応判断と、施術後の経過観察が欠かせません。 歯ぎしりや咬筋の張りにお悩みの方は、一度ご相談いただき、最適な治療計画を立てていきましょう。
吉祥寺おとなこども歯科・矯正歯科では24時間WEB予約を行っております。 何か気になる点がございました方は以下からご予約ください。 https://icontact-4.dapo.jp/docoapo_line/webform.php?id=39399
監修者: 医療法人社団名月会 理事長 山口昌良